健康コラム 女性を悩ます”ドライ”症状


最近口が渇く、目が乾く、肌が乾くなどの症状を感じた事はありませんか?こういった「ドライマウス」、「ドライアイ」、「ドライスキン(乾燥肌)」などの全身の乾燥症状を「ドライシンドローム」という一つの症候群として捉えるようになっています。ドライアイ患者は日本に800万人、ドライマウス患者においては、軽度の口腔乾燥症を含めると3000万人もいるといわれています。

 そういった背景には、エアコンによる冷暖房、ストレス、パソコン、口呼吸、薬の副作用、よく噛まない食生活、欧米型食生活などの生活環境などの問題が密接に関わっているといわれています。空気が乾燥する今の季節は、喉や鼻の粘膜が乾燥し、風邪をひきやすくなったり皮膚がカサついてかゆみを起こしたり、慢性の呼吸器感染症を起こしやすくなったりします。

 また、上記で述べた身体的、精神的、環境的要因の他に、女性ホルモンや更年期との関係も注目されています。注意したいのは、ドライシンドロームに、難病とされる「シェーグレン症候群」が隠れている場合があること。これは口と目の乾燥を主症状とする病気で、唾液腺や涙腺が異物と認識され、免疫物質によって攻撃されてしまう「自己免疫疾患」の一種です。発症は圧倒的に女性に多く、好発年齢は40~60歳代、というデータが出ています。それぞれの症状が悪化すると内臓の炎症や中枢神経障害を起こしたり、リウマチなど他の自己免疫疾患を引き起こすこともあるので、ドライシンドロームについて正しい知識と対策法を身につけましょう。

・ドライアイ(乾き目)
ドライアイとは、簡単にいえば涙が少なくなって目の表面が乾いてしまう病気です。涙が足りないと目は乾いて傷つきやすい状態になり、目が疲れやすい、目が痛い、ゴロゴロする、赤く充血してしまう、などの症状がでます。原因としては、まばたきが少ない(パソコン作業による画面の凝視)、エアコンによる乾燥、紫外線、大気汚染、コンタクトレンズの装用などがあげられます。

 対策としては、まずは目が乾きにくい環境づくりを心がける事が重要です。エアコンの風向きを変えてみたり、加湿器で空気の乾燥を防ぐ工夫をしてみましょう。また、こまめに目薬をさしたり、目のホットパックやマッサージも効果的です。食生活の面では、目の粘膜を保護するビタミンAを含むレバーやウナギをはじめ、体内でビタミンAに変わるβカロチンが豊富な人参や南瓜など、網膜の健康を保つビタミンB1を含む納豆・ナッツ類、眼精疲労を回復するアントシアニンが豊富なブルーベリー、黒ゴマなどを積極的に摂るように心がけましょう。また、目の若返りにコラーゲン&ムコ多糖類も効果的といえます。

・ドライマウス(口腔乾燥症)
 唾液の分泌量が減ってきて、口の中が乾く病気です。そのため、口の中の防御システムが低下します。口の中がカラカラになり、唾液が粘つき、唾液の減少とともに虫歯や歯槽膿漏にかかりやすくなり、口の中が傷つきやすくなります。口内炎や口角口唇炎、舌炎、舌痛症、口臭、味覚障害などが起こり、ひどい場合は食べ物が飲み込めなくなる嚥下困難まで起こってきます。最近の研究では肺炎を起こすことも分かってきました。原因としては糖尿病、ストレス、薬の副作用、放射線治療、加齢による唾液腺の萎縮、口呼吸などがあげられます。

 治療法としては、減薬と処方変更、活発な会話、よく噛むこと、口腔の保湿、軽い運動を続けることにより自律神経を安定化させる事が効果的とされています。また、唾液は血液がろ過されてできるので血行不良はドライマウスの悪化につながります。タバコは血行を悪くするのでぜひ禁煙を。

・ドライスキン(乾燥肌)
ドライスキンとは皮膚の水分や皮脂量が不足して、皮膚が乾燥した状態です。皮膚の一番外側にある「角質層」は、皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質(セラミド等)によって、皮膚の潤いを保っています。みずみずしく潤いのある肌の角質層には約33%(重量比)の水分が含まれており、この水分が減るとカサカサした乾燥肌になります。

 乾燥肌になる背景には、アトピー性皮膚炎や魚鱗癬(サメ肌)などの体質(遺伝)、乳幼児やお年寄りなどといった年齢による変化ともいうべき内的因子があります。アトピー性皮膚炎は、季節に関係なく年間を通してドライスキンの状態が続いています。乾皮症は、空気が乾燥し始める秋から冬にかけて症状が現れ、冬になるとひどくなるためケアが必要です。

 ケアのポイントとしては、洗顔・入浴時の「こすり過ぎ」に気を配り、肌の脂分を落としすぎない、入浴後には保湿効果の高い化粧水やクリームを使う、家事の時には熱い湯や洗剤を使いすぎない、など普段の生活から気を配るようにしましょう。

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